月が輝くうちに takamichi * miko |
地面を踏みしめる音が闇に染みいるように、規則正しく響いていた。
近づいてきた気配は、男の背後でピタリと止まった。
男の考えを読んだのか、そう背後から声をかけた。
そう振り返る治部少丞こと藤原鷹通は、月光を受け微笑を浮かばせていた。
しかし君の顔を見る限り、月というよりはさしずめ、 月に帰る天女に想いを馳せていた…というところではないかい?」 「…神子殿のことですか?」
「知っていますよ。私はただ遠回りな表現が好きではないのです」
友雅殿とは違って、と付け加えると、互いで笑い合った。
…しかし知ってるかい? 鷹通。 夢が覚めるころには、月は消えてしまうのだよ」
「君は私と違って遠回りが嫌いなようだから、心配無用かもしれないが」
再び月を仰いだ面には、微塵の迷いも無くなっていた。
そう言うと、麗人はふふふと笑った。そして 「…そうか。それでは…、…と言っても、あと数刻後に会うことになるだろうが」 と、鷹通とすれ違っていった。軽く、片手を振って…
・・・・・月の姫が、共に在ってくれるのならば――
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>>>当初「星が瞬く間に」というタイトルでしたが、「月」の背景が思わずまともに描けたので(これでも(~_~;)) 中身もタイトルを変えましたはぁ…。 だからというわけではないですが、なんとも消化不良な作品で(汗)その後の話でも書こうと思ってます。 2002.07| 遥かTOP|サイトTOP | |