抗生物質多用で乳がん増加  (朝日新聞 2004年2月18日)
  乱用に警鐘  米研究チームまとめ (ワシントン=村山 知博)
     抗生物質を頻繁に使う女性は、そうでない女性に比べ乳がんになるリスクが最大2倍を超えるという大規模な
     調査の結果を米ワシントン大などの研究チームがまとめた。米医師会誌18日号で発表する。
     理由はよく分かっていないが、抗生物質の乱用に警鐘を鳴らす結果といえそうだ。
     米ワシントン州のがん検診のデータを利用し乳がんが見つかった2266人と、乳がんではなかった7953人
     について、過去の処方記録などから抗生物質の使用頻度を調べた。
     抗生物質の使用経験がある女性を使用日数ごとに分け、未使用の女性と比べると、乳がんのリスクは
     1.45倍(1〜50日使用)〜2.14倍(501〜千日使用)になっていた。
     使用頻度の高かった人ほど乳がんによる死亡率も高い傾向があった。
     抗生物質が腸内細菌に悪影響を及ぼし有害物質が体内に吸収されやすくなったり、免疫系のバランスを崩して
     がんが抑えられなくなったりすることが考えられるという。
     研究チームは「抗生物質が必ずしも必要でない場合まで使われるのは気がかりだ」と指摘し、やめれば乳がん
     の一部は防げるかもしれないとしている。

目次にもどる