肺がん治療薬「イレッサ薬害」提訴へ (読売新聞 2004年6月22日)
  遺族、販売元に謝罪請求
     肺がん治療薬「イレッサ」(一般名 ゲフィチニブ)に副作用が多発している問題で、患者53人の遺族でつくる
     「イレッサ薬害被害者の会」が21日、輸入販売元の「アストロゼネカ」(大阪市)に「責任を認めて謝罪すべきだ」
     として、賠償金の支払いや原因調査、その結果の公表などを申し入れた。
    回答次第では、関西在住の遺族が7月中にも、アストロゼネカ社と国に対し損害賠償を求める初の訴訟を、
     大阪地裁に起こす方針。イレッサは英国で開発され、一昨年7月、厚生労働省が輸入販売を承認した。
     販売後、間質性肺炎や急性肺障害などによる副作用死が続出。
     同年10月、厚生労働省の指示でア社が緊急安全性情報を出した。12月には死者が100人を突破。
     投薬を専門医に限定するなどの使用制限を始めたがアストロゼネカ社によると、国内で今年3月末までに重い
     副作用が1,813例あり、うち438人が死亡している。
     この日は被害者の会のメンバーら6人がア社を訪れ、「動物実験や臨床試験で副作用の可能性を認識しながら、
     輸入承認まで厚生労働省にきちんと報告せず、今も販売を続けており、責任は重大」として、7月5日を期限に、
     賠償金の支払いなどを求めた。
     被害救済に取り組むイレッサ薬害被害弁護団(京都市)によると、大阪地裁のほか関東在住の遺族が東京地裁
     への提訴を検討中。
     一昨年10月に次女(当時31歳)を亡くした近沢代表は、申し入れ後の会見で「なぜ副作用情報を隠してきたのか
     納得できない。今も服用している何万人もの患者のためにも、事実を明らかにすべきだ」と話した。
    アストロゼネカ社は「遺族とは十分誠意をもって話していきたい」としている。

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