がん専門薬剤師認定 (読売新聞 2004年6月17日)
  来年度から  投与ミス防止  病院薬剤師会
    抗がん剤の誤投与が社会問題化している中、全国の病院に勤務する薬剤師で作る日本薬剤師会

    (全田浩会長、約3万3千人)は2005年度から、がん専門の薬剤師の認定制度をスタートさせることを決めた。

    医師には分野ごとに学会による専門医認定制度があるが、薬剤師では始めて。

    同会では、その後も順次認定の分野を広げ「薬のエキスパート」養成を進めていきたい考えだ。

    現在、国内で実施されている抗がん剤による化学療法は、約300種類に上る。
    次々と新薬が開発されているうえ、効果や副作用は個人差が大きく、投与には高度な知識や経験が必要と
    されている。
    一方で、抗がん剤の投与ミスは後を絶たず、2000年には埼玉医大で本来週1回投与すべきところを、誤って
    連続7日間投与された女子高生が死亡。
    2001年以降も、福岡、山形などで過剰投与が起きている。
    埼玉医大のケースは主治医が医学書を読み間違えたのが原因とされており、    
    同会は「薬の専門家である薬剤師がきちんとチェックしていればミスを防げた可能性がある」としている。
    同会によると専門病院以外では、薬剤師は主に内服薬の調剤を担当し、点滴で静脈注射を行う抗がん剤の    
    調剤は看護師が受け持つケースが多いという。
    こうした現状に対し、同会では抗がん剤の薬理作用の知識や臨床経験を積み重ねた薬剤師が、    
    自ら抗がん剤の調剤を手がけながら患者一人ひとりににマッチした投薬の方法を医師らに提案できるよう、
    「がん専門薬剤師」として認定する方針。
    がん病棟などで最低3〜5年間の経験があることを受験の条件として、来年度から年1回ずつ認定試験を実施する。    

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