状態の目安となることである。歯茎か歯に悩みがあったら、いつもより多くのビタミンCとその他のビタミ
目・耳・口
目は繊細な器官である。血液によって分子を供給されており、その環境に敏感である。したがって、有害物質
によって白内障になることがある。未熟児に供給する酸素分圧が高すぎると、網膜に通じる動脈が狭細・閉塞
して(水晶体後繊維増殖症)、失明にいたる。また、ステロイドを長期に渡って使用すると人によっては緑内障、
白内障、その他の眼疾患になることがある。ビタミンの適量摂取が目を守るのに有効であることはよく知られ
ている。東南アジアのいくつかの国とブラジルでは、しばしばビタミンAの欠乏による失明者が出る。
ビタミンAの不足による眼球乾燥症は幼児の失明の主な原因である。
バッセン - コーンツバイク症候群による色素性網膜炎は、ビタミンE とビタミンA
の大量摂取によって防ぐこと
ができる。目の為にビタミンCが重要であることは、房水のビタミンC濃度が非常に高く、血漿の濃度の25倍
である、という事実から分かる。
低ビタミンC摂取と白内障の相関を示す多くの証拠がある。白内障は、水晶体の混濁であって、タンパク質
分子が凝集して粒子になり、光を散乱させるようになるのが原因である。1935年のモンジュコワとフラドキン
に始まる多くの研究報告は、白内障になった目の房水にはビタミンCが非常に少ないことと、白内障患者で、
しばしば、血漿のビタミンC濃度が低いことを示している。(リーら1977年。ヴェルマら1979・1982・1984
年)
モンジュコワとフラドキンの報告によれば、白内障になる前に、水晶体のビタミンC濃度が低くなる。
したがって低ビタミンCは白内障の原因であって結果ではない、と結論している。また、高齢になると目の
ビタミンC透過性が減ることを示し、ビタミンCの大量摂取で克服できるだろう、と述べている。
ヴェルマらは(1984年)、研究の結果、老人性白内障の予防にはビタミンCおよびEが大切である、と結論し
た。また、ビタミンB12を規則的に大量摂取(1日200〜600ミリグラム)すると、白内障の進行が遅くなる、
という報告がある。
多くの医師が、緑内障にビタミンCを使用して、好ましい結果えお得ている。緑内障は、しばしば失明を招く
痛ましい疾患で、眼圧が高いことで分かり、眼球がふらんでくる。正常な眼圧は、水銀柱で20ミリ以下で
ある。軽い緑内障で22〜30ミリ、進行したもので30〜45ミリ、さらに重症になると70ミリに達する。
遺伝的原因のほか、目の感染や外傷、あるいは心因的ストレスが原因となりうる。チェラスキン、リングスド
ルフ、シスリーは(1983年)、緑内障についての論議のなかで、レイン(1980年)の研究に触れている。
レインが26歳から74歳までの60人について調べたところ、1日平均75ミリグラムのビタミンCを与えた時
の眼圧は平均22.33ミリだったが、ビタミンCを1日1200ミリグラムに増やすと、眼圧は15.15ミリに下
がったという。
他の研究者も同じような報告をしている。最も顕著なのはビエッティ(1967年)およびヴィルノら(1867年)
の観察である。彼らは、患者に1日30〜40グラム(体重1キロにつき0.5グラム)のビタミンCを7ヶ月間
服用させた。眼圧は、当初30〜70ミリだったが、ほとんどの患者でおよそ半分の値に下がった。ビタミンC
の大量摂取によって緑内障が抑えられた患者もあるし、そうでない患者も症状を抑える為の薬の量を減ら
すことができた。
結膜炎は結膜の炎症である。結膜は、まぶたの内側をおおう粘膜で、眼球の前面にまで広がっている。
結膜炎の原因はウイルス感染、アレルギー、強い光、その他の刺激である。ウイルス性結膜炎は伝染力
が非常に強い。虹彩炎とぶどう膜炎は虹彩の炎症である。これらの炎症には、アスコルビン酸ナトリウム
の新鮮な等張液(3.1%)を点眼するとよい。通常の治療を補完する。
急性中耳炎は、細菌やウイルスによる中耳の感染症で、多くの人がこれにかかる。通常は上部呼吸器の
感染から起こる。これを防ぐには、呼吸器の感染症を防ぐか抑えればよく、ビタミンCの適量摂取が役に立
つのである。ある友人の話によると、耳にアスコルビン酸ナトリウムの溶液を滴下して、首尾よく急性中耳
炎を抑えたという。この治療法について綿密な研究は行なわれていないが、理にかなっているし、試して
みる価値はあると思う。
口 - 歯、歯茎(歯肉)、口腔内粘膜 -
の健康状態はビタミンCの摂取量にかかっている。摂取量が非常
に少ないと、悲惨な状態になる。ふつうのバランスのよい食事から得られるような摂取量では、ほどよい
状態をもたらす。口の状態を本当によくするには1日2〜3グラムのビタミンCを補給する必要がある。
ビタミンCの摂取量が少ないと、じかに歯に影響する。歯をつくる細胞が衰え、新しい象牙質の生成が止
まり、象牙質に穴があく。ビタミンC、カルシウム、フッ化物を十分に補給することが、歯の健康に不可欠
である。ビタミンCが欠乏すると毛細血管がもろくなる。歯茎の毛細血管が破れて出血すると、歯茎の
組織に行く血液の流れが断たれて、組織は破壊される。歯茎は、ふくれて紫色になり、柔らかくなる為に
傷がつきやすい。その後に続くのが感染と壊疽で、歯を失うおそれがある。歯茎の炎症は、歯肉炎と言
い悪化すると歯槽膿漏(歯周疾患)になる。フルマー、マーティン、バーンズ(1961年)と他の研究者が
得た結論は、健全な象牙質、骨、歯茎、および歯周組織の結合組織を生成し維持するにはビタミンCが
必要であるということである。
歯周疾患の治療は、一般に歯垢の除去と、時に抜歯、充填物と補充物の交換、歯肉組織の外科的部分
切除などである。このような治療は、苦痛を伴う上に高価である。ビタミンCの摂取量を増やすことによっ
て治療をせずに済む場合がよくある。次に症例の一つを紹介しよう。これはジョシュア・ラバック(1972年)
が、ビタミンCに関する著書の中で述べているものである。「私がビタミンCのことを知ったのは1966年で、
ある歯科医のおかげである。私は、その歯科医に必死になって相談していた。なぜ必死だったかと言え
ば、900ドルのせいであった。歯周専門医が私の歯茎をましな形にするのに請求した料金なのだ。
その歯周専門医の予測は、まさに恐ろしいものだった。料金が900ドルというだけでも最悪なのに、もっ
とひどいことに、処置したからといって早々に歯は抜けないという保障はない、といったのだ。
私が2番目の歯科医 - 今の私の歯科医 -
に会ったのは、その1週間後だった。彼は口の中をつつき
回し、たくさんの問診をした後で、私の歯茎が弱まりつつあり、見過ごせない状態であることは認めた。
しかし、“すぐに”歯周の処置が必要だとは認めなかった。そして次のように指示した。その場で歯垢を
取ること。以後3ヶ月ごとにこれを繰り返すこと。指示された通りに歯を磨き歯茎をマッサージすること。
今から渡す白い錠剤を朝と晩に1錠ずつ摂ること。この白い錠剤がビタミンC(500ミリグラム)である
ことは、6ヶ月後に分かった。また、この歯科医がある種の歯肉疾患に過激な治療をする前にビタミン
C療法を行なっていることも知った。 …
これは6年前のことで、私の歯は未だに全部あり歯茎も健全で
ある。ラバックは1日1000ミリグラムのおビタミンCで歯周疾患を食い止めたが、もっとビタミンCを必要
とする人もあろう。疑いないのは、チェラスキンとリングスドルフ(1973年)が、著書『予知医療』で指摘
してる通り、全身の健康は、かなりの程度、口の健康の影響を受け、また口の健康状態は全身の健康
ンを摂り、様子をみるとよい。