慢性疲労症候群   (産経新聞 1995年4月7日)

  細胞がエネルギー不足  阪大発表へ
     全身の疲労や微熱などが数ヶ月続く 「慢性疲労症候群」(CFS)の患者は、細胞内でのエネルギー生産の目安
     となる「アシルカルニチン」という物質が血液中で減っており、細胞がエネルギー不足になっていることが大阪大

     医学部の木谷照夫教授(血液学)らの研究で分かった。

     患者の体内で代謝異常が起きていることを示すもので、原因不明のCFS解明の手がかりとなりそう。
     名古屋市で開催中の日本医学学会総会で8日発表する。
     木谷教授らは、疲労が顕著というCFSの患者の症状から、患者の体内で何らかの代謝異常が起きているので
     はないかと推論。細胞内のエネルギー生産工場の「ミトコンドリア」に着目した。

     このミトコンドリアでエネルギー源の脂肪が分解される過程で、分解量に比例して出てくる 「アシルカルニチン」

     を調べた。
     この結果、CFS患者の血液中のアシルカルニチン濃度は、健康な人に比べて、この病気が多いとされる女性
     で約半分、男性で6〜7割に減少していることが分かった。
     また、体内に侵入した異物を排除する役割をもつリンパ球の中でも、アシルカルニチンが少なくなっており、免疫
     異常も認められた。
     木谷教授らは、ビタミンCの多量投与による治療で一定の効果をあげているが、「推論が裏付けられた。根本的
     な原因を突き止めたい」と話している。

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