薬で治らない生活習慣病     名古屋市立大学薬学部教授 薬学博士 奥山浩美先生
  生活習慣病は薬でなおらない
     血圧やコレステロール値などを正常値に抑える切れ味のよい薬が次々に開発されるようになってきていますが、
     実際に薬で病気が治ったり寿命が延びることが認められているものはほとんどありません。
     逆に飲み続けるとかえって寿命が短くなるなど薬には危険がつきまといます。したがって生活習慣病や慢性
     疾患は薬で抑えているうちに生活習慣や食生活を改善してできるだけ薬から脱却すべきです。
   @血圧降下剤の問題点
     年をとると動脈が狭まり血流が悪くなるので、からだは血圧を上げて末端まで血液を送ろうとしています
     (このため高血圧になる)。
     βブロッカーのように心臓の働きを抑えて血圧を下げると末端の血流は低下して、ますます血流不足になる
     場合があります。
     またカルシウム拮抗剤のように血管を拡張させて血圧を下げる場合では、薬は正常な血管に作用して目的
     とする狭くなった所に働かず、正常な血管に多く血液が流れ、狭窄部は返って血流の低下が促進される場合
     があります(盗血現象という)。
     このため薬による血圧降下はかえって心疾患、脳虚血などの悪化につながるおそれがあります。
   Aコレステロール低減療法はむしろ危険
     動脈硬化や心疾患の主要な原因がコレステロールであるという従来の常識は根拠が曖昧でした。
     たとえば北欧や米国では、たしかにコレステロールの多いほど心疾患は増えていますが、日本や地中海
     地方ではコレステロール値が増えても心疾患はほとんど増えていません。
     しかも北欧や米国は日本と同じコレステロール値でも死亡率は4倍も高くなっています。このことは動脈硬化
     や心疾患の主な原因がコレステロールではなく、もっと重要な因子が他にあることを示しています。
     また Iso氏らの調査結果や欧米の報告でも、血中コレステロール値の高いグループの方が、ガンや心疾患
     の死亡率が低く長寿という結果が得られています。
     コレステロールは体にとって極めて重要な働きをしており安易に薬により低下させることは、重大な問題を
     引き起こす可能性が高いのです。

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