ヒト遺伝子2万2000個 (読売新新聞 2004年10月21日)
  従来推定より1万個少なく ハエと大差なし
     人間の遺伝子の数が従来の推定より約1万個も少なく2万2000個程度と見られることが日米英など6か国
     の国際研究チームによる解析でわかった。
     1万数千〜2万個とされるハエの遺伝子数と接近することになり、従来、高等生物ほど遺伝子の数が多いと
     考えられてきた遺伝子の理解のあり方に見直しを迫ることにもなりそうだ。
     研究成果は21日付の英科学雑誌「ネイチャー」に掲載される。
     人間の全遺伝情報「ヒトゲノム」の完全解読を目指した「ヒトゲノム計画」はこの研究チームにより1990年に
     始まり、昨年4月に解読終了が宣言された際、遺伝子の推定総数は3万2千615個とされた。
     ゲノムを構成する化学物質「塩基」は4種類あり、遺伝情報はその配列で記録されている。
     今回はヒトゲノム31億塩基のうち、解析の対象となった29億塩基を99.999%の精度で配列決定に成功した。
     さらに、たんぱく質を作る情報を持つ遺伝子の数に関して、動物の遺伝子などの様々な知識が蓄積した結果、
     これまで複数と思われていた遺伝子が1個であることなどが判明。
     人間の遺伝子の総数は新たに2万1787個と推定された。
     今後、今回試みたのと同一の解析手法で比較する必要があるものの、人間の遺伝子数はハエの遺伝子数
     とも、これまで考えられていたよりも差が小さいことになる。
     今回の結果について、研究チームの服部正平・北里大教授は「遺伝子の数だけではなく遺伝子配列の微妙
     な変化や働き方の違いで、各生物の特徴が生まれているという考え方が、今後は重要になるのではないか」
     と話している。

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