2006.3.22.  足環は本当に安全なの?PART2


2005年11月の佐藤氏の質問に、山階鳥類研究所は次のように答えています。抜粋します。 

21 足環が安全であるという根拠はどこにあるのか。

回答:鳥類標識調査は約100年の歴史があり、その間に各国の研究者や機関によって、鳥に最も負担の少ない安全な金属足環を開発してきました。現在使用されているのは国際的に通用するスタンダードなものであり、適正なサイズの足環を適正に装着する限りでは、鳥への安全性は高いと考えます。また、足環を付した鳥の長期経過後の再捕獲例があることもその例証となります(前19項参照)。

 放鳥後の足環装着の影響の有無については、タンチョウの雛への標識(約200羽、金属リングとプラスチックカラーリング)に関して長期間わたる追跡調査の結果、異常は確認されていません。また、足環を装着した小鳥が十分に長生きできることは、「渡り鳥アトラス」に掲載されたスズメ目鳥類の長期経過後の回収44例のうち38例が良好な状態で再捕獲されていることが大きな例証となるでしょう(残りの5例は死体収得による回収、1例は狩猟による回収)。たとえば、足環を装着して放鳥後11年経過したオオヨシキリ、10年経過したオオジュリン、9年1カ月経過したハクセキレイなど、足環を装着した極めて長寿の個体が、再捕獲後良好な状態で再び放鳥されています。

 

この回答には大きな矛盾があると考えます。長期経過後に回収されたのは長く生きできたからなのですから、良好な状況なのは当たり前です。回収されなかった個体が大部分を占めるのです。それらがどうなったかは全く分かりません。足環が原因で弱って死んでしまって回収されなかったという可能性を否定できる証拠はなにひとつありません。

また、「適正なサイズの足環を適正に装着する限りでは、鳥への安全性は高いと考えます。」とありますが、はたして適正に装着されているのでしょうか。足環は次のように着けられています。

 

このような専用工具を使って装着すれば適正に装着できるとのことですが、それではこの画像はなんなのでしょうか。 

足環が歪んで取り付けられています。これはごくごく一部のことなのでしょうか。不適正な装着足環がたまたま撮影した写真に写る確率はいったいどれほどなのでしょうか。

実際には適正に装着されないことが大変多いのではないかと考えてしまいます。このような例がごくごく一部だという証拠を見せて欲しいと思います。

このような不適切な装着では、足環が脚を圧迫してしまうのではないでしょうか。また、何かにひっかかる事故の原因になるのではないでしょうか。足環が適正に装着されない場合には、野鳥が事故にあう確率はとんでもなく高くなるのではないでしょうか。足環は本当に安全と言えるのでしょうか。

  

---この疑問は2005年9月のことでした。