情報公開請求の記録 データ分析 (2011年12月10日作成)
1.落鳥報告は、正しく報告されているのか?
下表は、地方ごとの捕獲数と落鳥率です。捕獲数は北海道・東北が群を抜いています。全国の落鳥率は0.18%と、山階鳥類研究所が公表した0.4%の半分以下です。考えられることは、「落鳥がきちんと報告されていないのではないか」ということです。(以前から繰り返し述べていることですが)
次の表は、落鳥実績のある報告だけを抜き出して集計したもの。地方ごとの落鳥率は、「03関東」の0.718%、「08中国四国」の0.709%、「09九州」0.652%など高い値となっています。その一方で、1調査あたり1000羽を超える捕獲数の北海道、東北、中部、中国の落鳥比率が対照的に低くなっています。
全国の落鳥率を求めると約0.4%となって、山階鳥類研究所が公表した値と一致します。これは偶然でしょうか。
落鳥実績のある報告だけから求まる落鳥率が山階鳥類研究所が公表した値と一致するということは、全部のバンダーが落鳥実績をきちんと報告していないことを示唆していると言えないでしょうか。
2.どのような死亡事故が起こるのか
落鳥原因(死亡原因)をまとめると以下の通りとなります。
驚くのは、他の生物に捕食されるのが49.7%と多いことです。また、本当の死亡原因でなく現象のみが報告されているだけで、捕食された原因や環境が何であるかが書かれていません。これら2点は、情報開示請求を使って落鳥原因を追跡し始めた平成18年度から、ずっと変わっていません。
鳥類標識調査では、捕食する生物が悪いのではなく、かすみ網を管理するバンダー責任が問われるはずです。他の生物に捕食されて、かすみ網で死亡する----これらを防止するには、かすみ網をこまめに見回ることが必要であり、調査マニュアルにも「30分おき、少なくとも1時間おきに網場を見回ること」と明示されています。
そのためには最低限の人員が確保されていること、そのマンパワーでチェックできるかすみ網の枚数等の検討も必要なはずです。配員が不足していても、やみくもに捕獲条件(網の種類・枚数)を維持して、その結果、落鳥を増やす結果となっていないでしょうか。落鳥の約半分は捕食されて死亡しています。これらの大部分は、網場をこまめに見回れば防げるはずです。
21年度の特記項目の項目の中で、「衰弱」の比率がこれまでより随分と高くなっています。衰弱というのは結果であって、衰弱をもたらした原因が落鳥原因のはずです。まるで鳥達が自然かつ勝手に死んでいってしまったような「衰弱」表記では、落鳥を防止する対策を打てません。
例えば、これらは、どれほど見回りしていないのでしょうか。「衰弱」が死因ではないはずです。(いずれも報告書から抜粋)
キビタキ
1
81
降雨後衰弱死、鳥研へ。
ウグイス
1
99
朝霧で体温低下?死亡、山階へ。
ウグイス
1
99
袋内で死亡、県自然保護センターへ。
サンコウチョウ
1
99
運搬中の事故により、圧迫し、山階へ。
今回気づいたのは、「衰弱」死が急増したことだけでなく、昨年たくさんあった、カマキリ,スズメバチ,カニ等により死亡したという内容が皆無だったことです。
3.総括
落鳥原因を「捕食による」「かすみ網で」「その他の原因」「原因不明」の4つに分けてグラフ化すると次のようになります。平成18年度からの4年間で傾向は変わっておらず、「捕食による死亡」が半分を占めています。
平成18年度の死亡原因(死亡数321)
平成19年度の死亡原因(死亡数299)
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平成20年度の死亡原因(死亡数350)
平成21年度の死亡原因(死亡数288)
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報告されている絶対数を比較しても、波はあっても死亡数合計、捕食による死亡数ともに大きな変化は見られません。
すなわち、平成21年度のデータを分析して、
・落鳥がきちんと報告されていないのではないか?(落鳥を報告しないバンダーがいるのではないか?)
・調査地でのかすみ網の見回りがマニュアル通りに行われていないのではないか?(マニュアル通りの見回りをしていないバンダーがいるのではないか?)
という疑問はますます強くなったと言えます。
また、山階鳥類研究所は、どうしてこの現状を改善しようとしないのでしょうか。
4.謝辞
膨大な量のデータ分析をしてくださった方に深謝いたします。協力して下さる方々のお陰で、毎年このような分析が可能となっています。
なお、情報公開請求にかかる費用には、全国からお寄せいただいたカンパと以前のステッカーの売り上げを充てさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。大切に使っておりますので、あと10年以上は全捕獲許可証を公開請求することができます。
・集計表ページ:集計結果を表にしたもの