情報公開請求の記録 データ分析 (2009年3月16日作成)
1.調査地ごとの落鳥率を検証する
死亡鳥報告には疑問点が多々あります。平成19年度の報告を検証しました。
[捕獲総数・1許可あたりの捕獲数と落鳥率]各地方の落鳥率は0.10〜0.24%とわかります。全国平均は0.18%となります。山階鳥類研究所が公表した0.4%の半分以下という低率です。半分以下の数値は、「落鳥が全て報告されていないのでは?」という疑問を生みます。
[死亡例のある捕獲と落鳥率]死亡例のあるものだけを抜き出して集計すると、全国平均は0.50%となり、山階鳥類研究所が公表した0.4%に近くなります。注意すべきことは、調査地によって落鳥率はずいぶん異なり、大規模捕獲しているステーションの落鳥率は山階鳥類研究所が公表した0.4%と同じになります。
要するに、山階鳥類研究所が公表した0.4%というのはステーションの数値を集計したものであり、小規模の調査地の落鳥率を反映したものではなく、落鳥率の高い調査地がいくつもあるということです。
2.どのような死亡事故が起こるのか
死亡原因を集計しました。驚くのは、他の生き物に捕食されるということが非常に多いということです。これは18年度でも同じです。
詳しく見ていくと、はなはだおかしな死亡報告がいくつも見つかります。
1 ノジコ
1 カマキリに襲われて死亡
エゾムシクイ
1 カニによる捕食、土中埋設
ヤブサメ
1 カニによる捕食、土中埋設
コサメビタキ
1 スズメバチによる食害、埋葬
2 センダイムシクイ
2 かすみ網のポールが折れ、地面の熱で死んだと思われる
メジロ
2 かすみ網のポールが折れ、地面の熱で死んだと思われる
コヨシキリ
1 熱射病で保護後、死亡
3 シジュウカラ
1 夜間網に絡まる
4 ホオジロ
2 頭骨観察中に動いたため骨折?、その後死亡
クロツグミ
1 計測中に骨折出血死亡、標本
1のグループでは、カマキリ、カニ、スズメバチに捕食されたとなっている。これは、かすみ網で死亡した後、かなりの時間放置された後、これらの生き物に食べられていた、ということでしょう。生きている鳥をカニやカマキリが襲うでしょうか。
2のグループでは、かすみ網にかかった鳥を長時間放置して死亡させたことを自ら証明しています。調査マニアルには、30分〜1時間ごとの見回りが義務づけられています(野鳥の衰弱を防ぐために)。これを完全に無視したことになります。
3は、昼間張った網を夜になっても片付けず、そこに運悪くシジュウカラがかかってしまったと考えられます。これを調査マニアルを無視した行為です。
4は、必要以上に鳥を調べた結果の死亡事故です。野鳥の生命を第一に守るという、調査マニアルに書かれている大原則が守られていません。
これらは全て、マニュアルを無視して野鳥をむやみに殺しているだけと言えるでしょう。必要な見回り周期が確保できていないか、あるいは必要人員が確保できないのに能力以上のかすみ網を張っているのかもしれません。いずれにしても、マニアルを遵守して調査を実施したなら、このようなことが起こるはずありません。
実際に、最近の調査に参加された方によると、
捕獲数を上げるために長時間かすみ網を放置していたとのこと。かすみ網の近くにバンダーがいると鳥が寄って来ないからだそうです。また、捕食動物がかすみ網にやって来るということは、長時間バンダーが来ないという証拠であるとも言えるでしょう。離れた場所(かすみ網)で鳥が苦しんでいることを、バンダーが認識していないはずはないが、バンダーは捕獲数を上げることに夢中であり、リカバリーがバンダーの手柄となり自慢となるのだそうです。
こういうことは、たまたまその調査地だけのことかも知れません。しかし、これは科学的な調査などとは決して言えず、単に捕獲を楽しんでいる虐待行為を言えるでしょう。たとえ少数の調査地のことだったとしても、あってはならないことのはずです。
一部のバンダーは鳥を触りながら識別の知識などを自慢します。そういう写真をwebで公開していたこともありました。そういう慢心が、上の表にあるような「頭骨観察中に動いたため骨折?、その後死亡」「計測中に骨折出血死亡」という野鳥の事故死の原因になると考えられます。また、山階鳥類研究所標識研究室も「捕獲数を増やすこと」が「調査の目的」になってしまっているのではないでしょうか。
3.総括
平成18年度と19年度の「許可証返納時の捕獲報告」に書かれている死亡原因をグラフ化すると、こうなります。
平成18年度の死亡原因
平成19年度の死亡原因
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かすみ網にかかった状態で他の動物に食べられたものが圧倒的に多いのです。このことは、調査をマニュアル通りに行わないバンダーがいることを示していると言えるでしょう。
2005年に京都等のバンダーたちの問題行為が明らかになった時、山階鳥類研究所と環境省は「調査マニュアルを守るように注意・指導した」と述べました。しかし、いまだにバンダーによるマニュアル無視の問題行為は無くなっていません。つまり、なにも改善されてはいないのです。
4.謝辞
膨大な量のデータ分析をしてくださった方に深謝いたします。
なお、情報公開請求にかかる費用には、全国からお寄せいただいたカンパと以前のステッカーの売り上げを充てさせていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。大切に使っておりますので、あと10年は全捕獲許可証を公開請求することができます。
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