★実際には本文はタテ書きとなります。「絵本のタイトル」と「メッセージ」はヨコ書きです。 ★赤字の部分がご希望の通りに変わります。 |
けんちゃんの せかいいっしゅう たんじょうび |
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なかむら けんごくん へ 2020年3月15日 たけだ まさこ より |
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ネコのはかせから てがみが とどきました。 へたな ネコごで かいてあります。 「けんちゃん こないだは ホットケーキ ありがとう。 おかあさんに しかられにゃかったかい? 3がつ 15にちは けんちゃんの たんじょうびだね。 おれいに ぼくが はつめいした ひこうせんに のせてあげよう。 たった いちにちで せかいいっしゅうできる すごいやつだよ。」 |
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たんぽぽこうえんからの かえりみち けんちゃんが いえのちかくまでくると ねこのはかせが へいのうえで けんちゃんを よびました。 「けんちゃん てがみを よんでくれた? いちど ぼくのけんきゅうしつを みにこないか。」 ネコのはかせの けんきゅうしつは ちいさな やまの ちょうじょうに ありました。 |
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けんきゅうしつには いろいろな へんてこな はつめいひんが たくさん ならんで いました。 「あのてがみは この ネコごへんかんコンピューターで かいたのさ。 これは アジのひものオートつりき。 これは キャットフードふくらましきだ。」 ネコはかせは じまんそうに はつめいひんを せつめいして くれました。 いちばん おくに こんど のせてもらう ひこうせんが ピカピカ ひかっていました。 |
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「この ひこうせんが とぶのは じかんに ひっぱられるからなんだ。 だから とんでいるうちに はるから ふゆ あきから なつへ ぎゃくもどり。 ちきゅうを はんぶん まわると けんちゃんのとしは 4さいに もどってしまう。 でも しんぱいは いらないよ。 あとの はんぶんで 5さいに もどるからね。」 |
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たんじょうびの 3がつ15にち やくそくの 12じに けんちゃんが まどを あけると あの ひこうせんが ブーンと ちいさな おとを たてて うかんでいます。 まるい ドアが あいて ネコの はかせが おりてきました。 「けんちゃん 5さいの おたんじょうび おめでとう。 おいわいの せかいいっしゅうに さあ しゅっぱつだ!」 はかせが はつめいした ひこうせんネコふくを きると けんちゃんは ひこうせんへ のりこみました。 |
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ひこうせんは たかく たかく のぼって いきます。 けんちゃんのいえが おもちゃのように ちいさくなり けんちゃんの すむ まちも やがて みえなく なりました。 そして とうとう にほんのくにも けんちゃんの てのひらの おおきさに なりました。 はかせが そうじゅうかんを まえに たおすと ひこうせんは ぐんぐん スピードを あげ きがつくと もう アメリカたいりくは めのまえです。 ひこうせんは こうどを さげ カモメと いっしょに なみのうえを とびはじめました。 |
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あおく かがやく なみのむこうに まっしろな ほを かがやかせて いっせきの はんせんが はしっていきます。 かんぱんに いた きんぱつの しょうねんが ひこうせんを みつけて びっくりして さけびました。 「すごい のりものだね どこから きて どこへ いくの?」 「これから アメリカたいりくを こえて せかいいっしゅう するんだ。」 「きみは どこへ いくの?」 「たからじまの ちずを みつけたんだ。 これから たからさがしに いくんだよ。」 ネコの はかせが 「これは ぼくの はつめいした ダイヤモンドたんちきだ きっと やくにたつよ。」と いいました。 |
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かわいらしい ちいさな まちのうえを ゆっくり とんでいるときでした。 おとこのこが たのしそうに いえの かべに ペンキを ぬっています。 そばかすが かわいい きいろいかみの おとこのこが リンゴを てにもって ニコニコしながら ペンキぬりを ながめています。 けんちゃんも ペンキぬりを してみたくなりました。 「ぼく(わたし)にも ペンキぬりを させて。」 とたのみました。 おとこのこは おおよろこびで 「すきなだけ ぬっていもいいよ。」 といいました。 |
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アメリカたいりくを すぎて ひこうせんは また うみに でました。 かぜが つよくなって なみが あばれています。 その なみを やぶって とつぜん まっしろに かがやく おおきな おおきな マッコウクジラが とびあがりました。 「やあ あれは はくげいだ。」 はかせが さけんだとき ちいさな ボートに のった おじいさんが ふとい もりを クジラめがけて なげつけました。 クジラは はげしい みずしぶきを あげて うみに もぐって いきました。 |
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たいせいようを わたって イギリスの そらを とんでいるときでした。 とつぜん ひこうせんが キリキリと おとを たてはじめました。 「おや タイムプロペラが おかしいぞ。 しゅうりのために きんきゅうちゃくりくするよ。」 ひこうせんは ふかい もりのなかでも いちばん おおきな きのうえに ちゃくりくしました。 ネコはかせが タイムプロペラを しゅうりしているあいだ けんちゃんは もりのなかを さんぽすることに しました。 |
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ことりの うたを ききながら あるいていると ひづめの おとが きこえてきました。 そのとき けんちゃんの あたまを かすめて いっぽんの やが きに つきささりました。 みどりの ふくをきた せいねんが たくましい ウマに のって はしってきました。 そして けんちゃんに 「ここは きけんだ すぐに にげたほうが いいよ。」 と さけびました。 けんちゃんが あわてて ひこうせんに もどろうと きに のぼりはじめたとき こわい かおを した へいたいたちが せいねんを おって つちけむりを あげて はしりすぎていきました。 こんどは ネコたち みんなが そんけいする えらい えらい ネコさまに あいさつしていくよ。 |
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ながぐつをはいたネコの やかたは フランスの ある ちいさな むらに ありました。 ピカピカ ひかる ながぐつと りっぱな ようふくを きた ネコが けんちゃんたちを むかえてくれました。 「このあいだ わしは しゅじんのために ひとくいおにを だまして ちいさな ネズミに へんしんしたところを ぱくりと たべてしまった。 この ながぐつや きれいな ふく そして この りっぱな きゅうでんも そのときの ごほうびだよ。」 |
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ちょうど フランスへ きたから アルプスの うえを とんでみよう。 ひこうせんは みどりに かがやく そうげんを こえ ふわふわと とんでいきます。 ひこうせんの おおきな かげに おどろいて シカの むれが にげていきます。 やがて アルプスの やまやまが ぎんいろに ひかって あおい あおい そらに そびえているのが みえてきました。 |
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「あの きれいな はなは エーデルワイスだよ。 はなの じゅうたんの うえで おべんとうを たべよう。 やあ しまった。 ながぐつをはいたネコさまに いただいた おべんとうを わすれてきてしまった。」 すると おかのむこうから かわいい おんなのこと おじいさんと こヤギが たのしそうに うたを うたいながら あるいてくるのが みえました |
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ネコの はかせは おんなのこに ペコリと おじぎをすると 「どこか このへんに レストランは ありませんか。」 と ききました。 しょうじょは クスクス わらうと 「これから おべんとうを たべるところなの いっしょに いかが?」 サンドイッチに リンゴ はちみついりの ミルク こんなに おいしい おべんとうは はじめてです。 おれいに ネコはかせは どんな うたでも じゆうに ふける ちいさな ふえを プレゼントしました。 それから ひこうせんは アラブのくにぐにや ひろいひろい ちゅうごく そして ヒマラヤさんみゃくを こえ きらきらひかる よるの にほんに もどってきました。 |
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けんちゃんが ひこうせんから おりて へやに もどったとき とけいは ちょうど 1じを さしていました。 ネコの はかせは いいました。 「けんちゃん きょう 2かいめの 5さいの たんじょうび おめでとう。」 「いちにちに にども たんじょうびを むかえたのは せかいで けんちゃん ただひとりだよ。」 「はかせ ほんとうに たのしい おくりものを ありがとう。」 ネコの はかせは つめを ひっこめた やわらかな てで けんちゃんと あくしゅを しました。 「さよなら けんちゃん。」 「さよなら はかせ。」 ひこうせんは ほしでいっぱいの そらに ふわふわと きえていきました。 |